オンライン家計簿ソフトを徹底比較してみた。
2015/08/29
自分の収支状況を把握するには家計簿をつけるのが一番、かつ簡単。でも手入力でちまちまと頑張るのは時間もとられるし大変な作業です。
そこで、オンライン家計簿の中でも大手である3つの家計簿を比較してみることにしました。
比較することにした3つのオンライン家計簿
今回試してみることにしたのは、次の3つです。
2014.01.04 追記しました
OCN家計簿
ちょっと前に親元であるNTTコミュニケーションがお漏らしをした影響で一時期サービスが停止していたりもしましたが、ともかくオンライン家計簿の大手であることには違いありません。
MoneyLook
PCからはWindows+IEのみガチ対応、スマホからはiOS系のみガチ対応というひねくれた対応状況ながら、2013年の暮れにようやくAndroid用アプリにも割りと対応、今回ご紹介する3つのサービスの中では一番銀行情報のお漏らしの可能性が低いサービスです。
MoneyForward
3つの中では最後発になります。本当の意味で今回初使用です。痒いところに手が届くのを期待しています。
オンライン家計簿ソフトは大手や老舗など多々ありますが、今回この3つを選んだ理由はこんな感じです。
・自動で口座やカードの情報を取得してくれる
・あわよくばオンラインバンクに自動ログインできる
・レシートから簡単に家計簿取り込みができる
そして今回、ものすごく無駄な作業なのですが、なんと3つの家計簿を同時につけていくことにしました。家計簿を選ぶ道のりは厳しいです。その成果を記事にしていきたいと思います。
自動で口座やカードの情報を取得する
MoneyForward:対応数は最後発ながら一番 | |
MoneyLook:老舗の貫禄で地方信金なども十分 | |
OCN家計簿:まだまだ数が少ない |
自動的に口座・カードの情報を取得するためには、銀行がオンラインバンキングに対応していること、もちろんそのオンラインバンキングに申し込んであること、そして家計簿ソフトが銀行に対応していることの3つが必要です。
家計簿ソフトが銀行に対応していなければ取り込みはできませんので、3つのソフトで対応している数を出してみようと思います。地道に数えて10未満の端数は適宜処理、2013年10月現在の数字です。数え間違いがある可能性もあるので、ぼんやりとした数字にしてあります。
銀行 | クレカ | EC/ポイント | 電子マネー | 証券/FX | 公共料金 | その他 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
MoneyLook | 580 | 60 | 80 | 10 | 70 | 20 | 20 |
OCN家計簿 | 30 | 40 | 30 | 5 | 30 | 5 | 5 |
MoneyForward | 1200 | 50 | 10 | 5 | 40 | 5 | 5 |
見ての通り、OCN家計簿は圧倒的に弱いです。一方で最後発のMoneyForwardは銀行の数をすごく頑張っていると思う。ただ、要するに自分が使いたい銀行がなければどれほど数が多くても意味がないので、数だけがすべての基準ではありません。使いたい銀行が対応しているかどうかを確認するのは大切な判断要素だと思います。ただ、地方の信用金庫とかになると、本当にOCNは圧倒的に弱いです。
一方で、銀行以外についてはMoneyLookが割とよい対応状況です。痒いところに手が届く感じ。また、現在のところMoneyLookのみオートログインに対応しています。このオートログイン機能については、次に語ることにします。
オンラインバンクへのオートログイン/各銀行の情報更新
MoneyLook:動作環境制限はあるけどもオートログインは強力 | |
OCN家計簿:ログイン時に自動で最新情報取得 | |
MoneyForward:一括情報取得ができない |
オートログイン機能とは、家計簿から直接オンラインバンクのログインをした画面を開く機能です。地味に便利。現在ではMoneyLookのみが対応しています。MoneyForwardはわかりませんが、少なくともOCN家計簿は以前は対応していました。NTTコミュニケーションがお漏らしをしてOCN家計簿は一時期閉鎖していたことがあるのですが、再開した時にはもはやOFFになっていた状態。OCN家計簿側としては「登録している銀行関係のデータは漏洩していません!」と強くアピールしていましたが、なに、OCN家計簿のアカウントに入ってから各銀行にオートログインされたらもう裸同然ですよね。股間に葉っぱ1枚ある程度の防御力です。
ところでそんなご時勢の中、MoneyLookがなぜオートログインが可能かというと、そこには明快な理由があります。それは、MoneyLookはサーバに銀行の情報を保存していないということなのです。専用のツールを用意して、ブラウザからツールを呼び出すことにより、銀行にアクセスする仕組みを提供しています。ですから、もし銀行の情報が漏れたとしたら、それは基本的にはユーザのパソコン管理がまずかったということになるのです。もちろん、デメリットはあります。
MoneyLook | OCN家計簿 MoneyForward |
|
---|---|---|
銀行情報の 保存方式 |
ブラウザと連動する専用ツールを用いてパソコン内に保存している | すべてサーバに保存している |
メリット | サーバがハッキングされても情報漏洩しない。オートログインが提供されている。 | サーバがハッキングされると銀行情報も危険。セキュリティ確保のためオートログインは提供されていない。 |
デメリット | PCが変わると銀行情報を再設定しないといけない。複数台でMoneyLookを使いたいなら、使いたいパソコンすべて設定が必要。専用ツールはWindowsのIEでしか動作しないため、スマホやMacからは使えない。 | PCが変わっても再設定の必要なし。スマホ等でもFlashが使えれば銀行情報取り込みが動作するので、パソコンに囚われずに利用することが可能。 |
一長一短です。スマホのブラウザでは銀行情報の取り込みができないので、MoneyLookはAndroidでは実質ほぼ使えないサービスということになってしまっています。(iPhoneでは専用のアプリが提供されています。)一方、ちょっと銀行の情報を一覧で見たいときには、OCN家計簿が一番便利でした。各銀行の最新情報をログインした時に一括で取得できるからです。MoneyForwardは一括更新がなぜかプレミアムサービスになっていて、少し痒いところに手が届かない感じ。ひとつひとつ更新ボタンを押していくにも、登録した銀行などのアカウント情報が多いとちょっと面倒なのです。
iPhone/Androidアプリ
さて、今回取り上げた3つのソフトですが、アプリはこんな感じになっています。
家計簿 | 専用アプリ | 連携アプリ |
---|---|---|
MoneyLook | iPhone/Android | ReceReco (iPhone/Android予定) |
OCN家計簿 | なし | Zaim (iPhone/Android) |
MoneyForward | iPhone/Android | ReceReco (iPhone/Android予定) |
MoneyLookはPCはWindows/IE専用なのに、アプリはiPhoneという微妙な感じです。2013年の暮れにMoneylookは従来のiPhoneアプリに加え、Android用アプリもリリースしました…とはいっても、Android版アプリでは口座残高の情報更新ができないなど、機能としては少し寂しい感じがします。ほぼ、閲覧専用と言って差し支えなし。OCN家計簿は専用アプリがないのは寂しい。Zaimとの連携も正直微妙です(後述)。MoneyForwardはReceRecoとも上手に連携している感じがします。
専用アプリ以外に連携アプリがあるのは、恐らくいずれにせよ理由はひとつだと思います。レシートを撮影して文字を読み取り、自動的に家計簿をつけられるという機能を間借りするため。レシート読み取りはとても便利なので、この機能について語ってみようと思います。
レシート読み取り+自動家計簿入力
ZaimもReceRecoもレシート読み取り機能があります。ZaimはiPhone/Android共にリリースされています。ReceRecoはiPhone用は稼働中ですが、2013年10月現在Androidは準備中です。アプリを使ってみた感想としては、ReceRecoが一番レシートの認識率がよいです。ZaimはiPhone用の方が多少認識度高い感じで、Android用はかなりコツが要ります。慣れればよいかもしれませんが、半角カタカナの認識率は慣れてもなかなか上手くいかないことが多かったです。
まあ、Androidは機種もメーカーも豊富なので、すべてに不具合なく対応するのはなかなか難儀なのかもしれません。ReceRecoはAndroid版のリリースを遅らせてますが、そこらへんに理由があるのかもしれませんね。
自動でレシートから取り込んだ家計簿を、家計簿ソフトにさらに取り込む
MoneyForward:ReceRecoとの相性抜群 | |
MoneyLook:ReceRecoと一部の費目が一致していない | |
OCN家計簿:項目名の取り込みが酷い |
レシートで取り込んだデータは、さらに各家計簿に取り込みますが、ここでも差が出てきます。まず一番よかったのはMoneyForward。ReceRecoとの連携を最初から視野に入れていたのかもしれない、と思うほどによい。具体的にはReceRecoとの費目の相性が一番よいです。ReceRecoで一生懸命費目を設定してちまちまと入力をしても、MoneyLookでは一部の費目が未設定になってしまいます。再度MoneyLookで入力をしなおすのは、少し切ない。ここら辺は上手いことあわせていって欲しいものです。
逆にZaimと連携させると意味のわからないことになってしまうのがOCN家計簿。店名で項目名を取り込んでくれるならまだしも、なぜか費目名を項目名にしてしまう上に、取り込みがレシート単位ではなく1品1品なので非常に整理しにくい雑多なデータになってしまいます。正直、チェックがとてもしんどいです。いえ、確かに食料品とタバコを一緒に買えば費目は異なるわけですから、レシート単位よりは1品1品の取り込みの方がより正確なわけですが、しかし日曜日にスーパーで大量に買い込むと、OCN家計簿が悲劇の塊になっちゃいます。これは本当に。
こんなのが30個並んだら、本当に喜劇です。管理する気がなくなります。せめて店名か、最悪品名で取得して欲しいのですが、これなんとなるのかなぁ、と思います。
MoneyLookやMoneyForwardはレシート単位・品目単位かの取り込み方法が選べるのですが、MoneyLookは実質レシート単位のみ対応と考えたほうがよいかもしれません。なぜなら、出費にマイナスの数値が認められないので、割引を取り込みできないからです。まあ、普通はレシート単位で取り込んでおいて、詳細は連携先アプリを見るというのが賢いように思います。
インターフェース
OCN家計簿 | |
MoneyForward | |
MoneyLook |
家計簿ソフト本体のインターフェース比較です。
OCN家計簿はカレンダー表示で各日にどこで何を使ったのか一目瞭然。また、カウントしない項目を設定できるのもよいです。カウントしない項目とは、支出や収入として登録することはできるけども、合計には加算しない仕組み。例えばATMからお金を降ろしただけであれば、支出としてカウントしては計算が合わなくなるので、これはノーカンとしておけば、降ろした日もわかりやすく、なおかつ合計にも響かないメモとして使うことができます。そして同じ仕組みを踏襲しているのはMoneyForward。ここら辺はよく他のサービスを研究しているなと思います。
画像はMoneyForwardのものですが、OCN家計簿もだいたい同じです。
一方で、カレンダー表示がないMoneyLookは1日の支出が棒グラフで表示されていますが、いまいち見難い感じは否めません。グラフをクリックすると1日分だけ一覧を表示できたりするのですが、カレンダーインターフェースよりは明らかに劣ります。また、合計にカウントしない項目の登録もできません。
またMoneyLookの致命的なこととして、集計期間が固定であること。毎月10日始まりなら、それが祝祭日であれ休日であれ、とにかく10日になってしまいます。家計簿のつけ方としては私は給料日起算で考えたいと思っているので、ここが固定になってしまうと、給料日が前の月に加算されてしまったりして、とても不便。計算が合わなくなったりするため調整をしなくてはいけません。
ただ、MoneyLookは現金とカードの区別が明快です。今月カードでいくら使ったかはMoneyLookが一目瞭然。カード払いの入力項目は別途用意されているため、「今いくら財布に入っているか」はMoneyLookが一番把握しやすい結果になっています。その辺りは、MoneyForwardやOCN家計簿は曖昧になってしまいます。
予算管理
最後に、予算の設定は3つのサービスすべてにあります。節約するのに予算の設定は割と重要だと思います。こんな風に使う予定と、実績の比較をすると無駄がよく見えてくるものです。
予算額の設定については、OCN家計簿が少しユニークです。統計データを下に、1ヶ月の出資額から適宜各費目に振り分けて自動設定することができます。なんとなく他の人がどんな風な割合でお金を使っているのかが垣間見えます。
結論
MoneyForward | |
MoneyLook | |
OCN家計簿 |
1ヶ月、3つのサービスを同時に入力してみたのですが、結果的には私はMoneyForwardを主力として使うことにしました。致命的な欠点がなかったのが理由です。さすが最後発、よくできていました。
次点はMoneyLook。MoneyForwardがなければMoneyLookを検討していたでしょう。1ヶ月の期間設定に難がありますが、OCN家計簿に比べると対応銀行が多いこと(というよりも、私が使っている銀行でOCN家計簿では未対応の銀行があったこと)、そして現金とカードの区分がしっかりつけられることが決め手です。
とりあえず記事を読まれた方の判断の参考になれば幸いです。
ではでは。