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皇太子ルドルフと心中した17歳少女の母親宛の遺書が発見される

      2016/01/30

皇太子ルドルフと心中したマリーの遺書が見つかる

オーストリア皇后エリザベートの息子であり「マイヤーリンクの悲劇」で自殺した(とされる)皇太子ルドルフの心中相手だった(かもしれない)女性、マリー・ヴェッツェラ男爵令嬢の遺書がオーストリアの銀行で発見されたそうです。


宝塚歌劇や東宝で演じられている「エリザベート」では、息子にして皇太子のルドルフは父親との確執や革命運動の失敗を理由に自殺してしまいます。当然、主役ではないので詳細に描かれるわけではありませんが、史実では皇太子ルドルフは「マイヤーリンクの山荘」に一人の女性を連れていき、そこで女性と共に死亡します。
このマイヤーリンクでの事件はフランスの小説家クロード・アネによって「うたかたの恋(邦題)」として小説となり、宝塚歌劇でも同じ題で演目があります。歌がめっちゃ和風なのに、ドレス、ヨーロッパな感じの演目です。

というわけで、こちらの記事を斜めに読みます。
http://www.onb.ac.at/services/presse_23385.htm
(オーストリア国立図書館のプレス記事)

マイヤーリンク山荘、でかいです。
マイヤーリンク山荘(オーストリア国立図書館)

画像は全てこのサイトからお借りしています。

今回、シェーラー銀行(1833年設立の民間銀行)で監査をしていたところ、1926年から預けられ保管されていた茶色の革のバインダーからヴェッツェラ家の手紙、写真などが発見された。預け人は不明。
中でもマイヤーリンクから差し出された一通の手紙はセンセーショナルなものだった。
マイヤーリンク山荘のオリジナル封筒に書かれ皇太子の封蝋が施された、マリー・ヴェッツェラ男爵令嬢が彼女の母親に宛てた「遺書」だったのだ。
マリーが皇太子ルドルフと心中する前に母親にしたためた遺書
母親が残していたメモ等により、遺書の存在と一部の内容が知られてはいたものの、遺書そのものは母親の死後に破棄されたのでは、と考えられていた。今回のこの原本の発見は、歴史研究に大きく貢献するものである。また、遺書はマリーの母親、そして兄弟宛てに合計3通あるが、その他にも死亡証明書や両親や兄弟の書類など、重要な書類が一緒に発見された。
これらの文書などはデジタル化され、オーストリア国立図書館で保護され、研究のために利用可能となる。2016年のフランツ・ヨーゼフ没後100年の展覧会で公開される予定。

後は銀行の偉い人や発見した人のコメントがありますが、そこらへんは省略です。ともかく、手紙がとてもきれいな状態であることに驚きを隠せません。銀行の保管技術ってすごい。それとも、インクや紙の質が流石良いものだったのか。
マリーが皇太子ルドルフと心中する前に母親にしたためた遺書
オーストリア国立図書館さんがとても高精細な画像を出してくださったので、すっごいガン見できます。
マリーが皇太子ルドルフと心中する前に母親にしたためた遺書
さっきからこんな勢いでガン見しています。
画像からすぐにわかることとして、この遺書は便箋の表裏に書かれています。ということは、この紙は薄いよい紙なのでしょう。そういえば、すごい昔は国際郵便なんかは重さが大事だったので、丈夫で薄いよい紙を使ったりしていましたね。国際郵便(というか手紙)なんてもう出さなくなりましたけども。

そんで、わざわざ山荘にオリジナル便箋。
流石ハプスブルグはすごいな。ただ書いてあるだけでなく、ちゃんとロゴになっている。狩りのための山荘なので、鹿の首ですよ。Schloss Mayerling。城かい。あと、こそっとこれエンボス入ってますね。

そして、このインク。
便箋の表側は一切滲んでない、褪色もしていないですね。裏側は、流石に少し色が抜けて、ところどころ滲んだ様子もあります。あと、署名の最後のあたりなど、掠れた感じがとてもリアルです。文字には震えもないし、むしろ勢いすら感じる。1枚の便箋両側だけでまとまっている。
心中したかもしれない時、彼女は17歳だったそうです。恋に熱をあげた勢いだから為せた技なのか、それともマイヤーリンクに向かう時に覚悟を決め切っていたのか。考えれば考える程、謎は積もっていきます。

ちなみに冒頭の「Liebe Mutter」、お母さんへ、くらいは私でも読めるのですが、もう中盤とかわかりません。nなのuなのmなのちょっと点がついてるからiなのどうなのって感じです。日本語の草書だって割とわかんないように、これを見て「よめねーよ」っていう母国語圏の人もいるのでしょうかね。

そんなこんなで、いろんな方向へぴょんぴょんと思いをはせながらブログ更新です。貴重な文書を速やかにインターネットへと公開してくれたオーストリア国立図書館さんには大きな感謝を。

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