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第12回 落語教育委員会

      2015/08/30

2014年7月 第12回落語教育委員会@名古屋

2014年7月15日に名古屋・中電ホールで開催された落語教育委員会を観劇してきました。


さて、私は落語の観劇は初めてで、もちろん落語教育委員会も初めての観劇なのですが、初っ端に携帯電話の電源OFFを呼び掛けるコントがあるのだと同行した知人の解説。ネットで調べてみたところ、

いつものように携帯切ってねのコントより。
(中略)
練馬文化センターに落語教育委員会を見に行って携帯を鳴らしてしまったから身を投げようと思っているという喬太郎を止める歌武蔵。

りつこの読書メモ:落語教育委員会 柳家喜多八・三遊亭歌武蔵・柳家喬太郎 三人会より

コントは、女性(喜多八)を人質にして屋根上に立てこもる犯人(喬太郎)。客席後方から、警察(歌武蔵)登場。犯人の要求は「配布されるちらしから、喜多八のCDのものを抜け」「女性限定落語会の出演者を三三ではなく喬太郎にしろ」、本当の要求は「落語教育委員会の出演者を喜多八から三三にしろ」。

日落ちて道遠し:落語教育委員会より

なるほど。もちろん今回もありました。

新聞記者(喜多八)を前に会見を始める一人の男性(喬太郎)。
質問を始めようとする新聞記者に、名前と所属を名乗るように言い返し、質問を受けている最中は両耳に手を当てて大袈裟に耳を傾ける姿勢に。
第12回落語教育委員会@名古屋 コント
例えるならこんな感じです。こんな感じ。

んでもって、この男性、記者から受けた質問に、号泣し始める男性。「落語なんか、誰がやっても、誰がやっても、同じやおもてえええええ!!!」

無論、元ネタは今をときめく某県議員のパロディですが、これが実によく似ている。泣きまねや仕草なども非常によく研究されていて、ごっついそっくりでした。素晴らしい。

オチは歌武蔵が携帯電話の電源の注意を観客に語りかけつつ、懐で鳴り始めた携帯を取り出して通話しながら退場。

それにしても、落語は私の中ではちょっとした古典芸能にカテゴライズされていて、会場の雰囲気はどんなものなんだろうと思っていましたが、実に子どもからお年寄りまで、皆さん構えることなく、しかし熱心な雰囲気。これがよく行くクラシックの演奏会なんかだと静かに拝聴するのが常なわけですが、落語は楽しければ声を出して笑ってよい。演奏会よりもずっと長い時間だったわけですが、気がつけばあっという間に時間が過ぎていました。

そして、やはり噺家さんというのは話すプロだなと。マクラと言うらしいですが、話し始めの世間話めいたつかみの話。こちらも、初っ端の二枚目さんが今回の公演旅行について語れば、真打の皆さんも拾って拾い、広げていく。最近のお笑い系は、舞台に上るまでとことん推敲しつくし練るに練ったものを披露するような感じがメインだと思いますが、この落語家さんはちょっと違う。もちろん、推敲しつくし練って練って習って習ってなのでしょうが、そこに加えて機転をスパイスのようにピッと利かせて話を広げ、笑いをもたらす。トリをやられた喬太郎さんに至っては、前の3人の話をすべて拾って広げてきれいに落とす、実に鮮やかな話っぷりでした。

あともうひとつ。
落語と言えば、詳しくない私でも扇子を使って食べる仕草などをするのは知っていますが、あんなに口の中に入れてる感があるとは知りませんでした。口の前にすいすいと動かして見せるのかと思ったら、扇子かじるんじゃないかというくらい口に入れているような風に見えました。遠目なので確信はありませんし、オペラグラスをかざすこともしませんでしたが、あれはすごい。

演目はなんだったかな。

・月の家 鏡太「転失気(てんしき)」
・柳家 喜多八「青菜」
・三遊亭 歌武蔵「もう半分」
・柳家喬太郎 「宴会屋以前」←追記
しまった。創作落語です、タイトルをそう言えば見忘れました。宴会部長、定年退職間近な万年課長が新人の部下を呑みに誘い、昔話をする感じでした。観客でもご年配の方はきっと「そうそう」と懐かしめる話ですし、そうでない方は新人の部下側の気分を味わえるのかな。しかし実にテンポもよくて面白かった。

間違っていたらすみませんが、こんな感じでした。

チケット代もお手軽だし、楽しめましたし、また機会があれば行ってみたいものです。

ではでは。

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