映画「レ・ミゼラブル」感想
2015/08/29
ようやっと、レ・ミゼラブルを観てきたのでした。
まず、レ・ミゼラブルという話について今更語ろうと思います。ざっくりとしか知らない適当なでっち上げになってるかもしれないので、注意が必要です。
話の基本軸。パンを盗んで20年弱も閉じ込められてたおっさんが仮釈放で逃亡しちゃならんのに逃亡して、ルパンを追い回す銭形警部のようにしつこい警官に追いまわされ、逃亡を続ける話です。っていうか、実のところ「パンを盗む」「パリ」という二つのキーワードだけで、なんでか主人公のジャン・バルジャンは少年のように思ってた。なぜかそう思ってた。でも、映画だとおっさんでした。
話の飾り要素。おっさんには、様々な逃げる理由があります。自分が遠因となって身を持ち崩してしまい売春婦となった女性の娘を立派に育てあげることであり、娘が成長してお互いに一目惚れすることになった青年を助けるためであったり。そして、仮釈放された直後に教会の神父に救われた彼は、信念を持って正しい行いをしています。それは、献身的であり、親切であり、自己犠牲的であり、そして人を助けるということであり。
一方、銭形もどきだって、職務に忠実に、正しい行いであると信じておっさんを追いかけまわしているわけです。しかし、とうとう彼自身がおっさんに助けられたことで、彼自身が何が正しいのか、わからなくなってしまいます。
この物語のポイントは、「誰も悪くない」ということなんだと思います。まあパンを盗んだくらいは悪いかもしれない。でも、それくらいです。おっさんはパンを盗んだことがきっかけで一生追われる身になりますが、その後の人生は多くの人を助けることに費やしています。銭形もどきは仕事に忠実に頑張っているだけです。売春婦になってしまった女性も、ただ生活を必死に送り、娘を守りたかっただけのこと。娘はおっさんを信頼しているし慕っていますが、逃亡につき合わされているわけですから常に孤独でもあります。娘と恋に落ちた革命運動をしている青年は、娘を選びたいと苦悩しますが、結局は革命を選びます。青年と親しい女性は青年に片思いをしていますが、青年と娘を引き合わせる手伝いもするし、じっと自分の失恋を抱えて青年を助けます。
誰も悪くないのに、うまくいかない、幸せにならないのは、とても悲劇なのです。
よし。では本題。
映画ですが、よかったです。キャストが全員安定した演技をしていて、3時間弱(2時間50分)ある長い映画でしたが、飽きはきませんでした。おなじみの、どこかしら聞いたことがありそうなフレーズに載せて全員が何かしら歌っていましたが、歌もよろしかった。
もちろん一番よく出てくるのは主人公ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンなわけですが、いやよかった。非常に服も似合うし演技もよいし、歌もいけている。すばらしい。
そして、銭形もどき。
石頭な雰囲気はよく出てた。歌もよい。演技の所作から察するに神経質そうな役なのかもしれないけども、姿からはちょっとやさしそうな雰囲気もあったりして、そのあたりは微妙なミスマッチ感はあったかもしれない。でも、演技が光るから違和感ほど大きくはなかったけども。
娘のために必死に働き、身を売ることになった母、ファンテーヌ。
プラダを着た悪魔にザッツ・オールって言われる側の役をしてた人だ。芯が強い母親をしっかりと演じていて、嘆き悲しんで絶望を味わってもいるのに、娘のためだけに絶望を認めない、そんな強さが素敵でした。なお、作中で髪を切られちゃうのですが、自分の髪の毛をばっさりしてるらしい。(と、パンフレットに書いてありました。)
あーまんだ!あーまんだ!
彼女の声は、唯一超ソプラノ。なんならソプラニーノ。マンマ・ミーアでもかわいらしい感じでしたが、今回はそこに弱さも加わった、可憐な声になっています。コゼットは幼い頃から母親に頼り、母親が娘を預けていた宿屋の夫婦に虐げられながらも頼り、そしておっさんに頼るのです。彼女は青年に恋をするまで、頼って生きる自分をよくわきまえた人生を送っていたのだと思います。少女時代の子役の子も上手だったけど、成長したコゼットを演じるアマンダは「ああなるほど」と納得できる演技でした。
コゼットと相思相愛になる青年マリユス(エディ・レッドメイン)と、マリユスに片思いをしている、コゼットが育てられた宿屋の娘エポニーヌ(サマンサ・バークス)。サマンサ・バークスさんは今回が映画デビューの様子。歌がとてもよかった。On My Ownとかホントサイコーでした。今後に期待したい感が満々。
というわけで、サマンサが歌うOn My Ownバージョンのトレイラー動画を貼る。
そしてマリユス。後半のキーマンのひとりのはずなのに、無難な印象しかない。周囲が濃すぎて。むしろマリユスは革命を起こすための学生運動をしてるわけですが、友人でアジテーター的なポジションのアンジョルラス(アーロン・トヴェイト)がね。もういいキャプチャがぜんぜんみつからないんで、パンフレットからキャプチャしますが、
彼がもう映画の最中、ちらちらと稲垣吾郎なわけですよ。お前ゴロー・イナガキかってくらい稲垣吾郎なわけです。それが気になって仕方なかった。
まあ、こんな感じで映画は十分に楽しみました。
これはあれだね。DVD・ブルーレイもええけども、サウンドトラックが先だな。
2013.02.21 追記
サウンドトラックCDのアマゾンへのリンクを貼っていたのですが、もう少しちゃんと貼り直します。現在発売されているやつは「ハイライト版」としてクリスマスに間に合うように作成したものだそうです。
BBCの記事より。
Les Miserables soundtrack: ‘deluxe’ edition planned
“Post-production on the Les Miserables film was extremely tight, with recording of the orchestra, final edit and sound mix having to be completed in only a few weeks,” said producer Sir Cameron Mackintosh.
“There was only enough time to remix a limited number of tracks so that at least a highlights album could be released for the fans before Christmas.
というわけで、3/18にはデラックス版として22トラックが追加されたものが発売される予定とのこと。
“We are delighted with the success of that album and very pleased that we can now add 22 more tracks.”
なるほどね。
2/21現在発売中のサウンドトラック。
こちらは日本では3/19に発売となる、デラックスエディション。
では。